- 2012.08.21
- 関の考え方
神戸の就業率ナンバーワン作戦 その③「港湾産業」
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港町、神戸。情緒豊かなこの港の産業運営面はかなり厳しい。港湾産業の国際競争における試練ともいえる。
ターミナルリース料は、他の東アジア主要港と比較すると約2倍の割高。神戸港は自助努力で4割の低減化をしているが、釜山比、未だ2割近く高い。
1980年のコンテナ取扱高は、神戸港は146万TEUで世界世界第4位。2011年では、263万TEUに増加したが、世界の第47位。
これは世界的に取扱量が急増する中で、神戸がその荷物を取漏れしていることになる。
ちなみに2011年の世界第1位は上海。3,150万TEU。
神戸の13倍。上海は2000年には10位外であったのに。このほか、港湾競争の中で、日本と欧米を結ぶ基幹航路の就航便数も大幅に減少。2000年には2,500隻/年であった
ものが、2008年には1,400隻/年に減少。上海では、2000年に1,000隻/年が2008年には7,800隻/年に増加している。
釜山においても、2000年に3,600隻/年であったが、2008年では、5,000隻/年に増加している。
このように、東アジア地域の経済発展は、国際物流の姿を塗り替えつつある。国策として港湾整備取組が課題だ。
日本では、港湾コスト、施設内容ともに立ち遅れ、基幹の航路が日本から離れつつある。
このような中、「戦略港湾施策」が策定され
(1)国際海上物流の覇権を奪還して、国内産業の空洞化を阻止し、日本経済の強化を図るために、戦略港湾に集中投資し、東アジア諸港にシフトした基幹航路を奪還し、国際競争力を拡大する。
(2)具体的には釜山港に対峙できる港湾の整備と、釜山港のフィーダー港となった地域港からの貨物集約を戦略港湾(京浜港と阪神港)に集中し、基幹航路を維持・拡大する。
とあるが、実際には実効性が乏しい状況だ。
釜山港などのアジア主要港を中継した輸出入では、企業の生産活動に大きく支障が生じる。海外への生産拠点の移転、産業の空洞化が進行する。日本の国力低下である。
国土交通省の試算では、基幹航路を維持・拡大すると、
経済効果 約4,000億円/年
雇用増 約 1.6万人
となる。ちなみに、みなと神戸では港湾関連就業者数は19万7千人で、市内就業者数の28.7%を占め、港湾関連生産所得は1兆4,600億円で、市内生産所得の34.7%を占める。
如何に港湾関連が神戸市内で大きなウェイトを占めているかである。
このような中、国策としての港湾施策として、
(1)神戸港六甲アイランド地区 RC-6,7ターミナルの高規格コンテナターミナルの新規整備
(2)内航フィーダー輸送網強化のための集荷施策への予算拡充
の実施に向け努力したい。岸壁の大水深化(-16m)、荷捌き地の整備、耐震強化、高規格免震型ガントリークレーン整備、公設民営化の推進など、具体的な案件に一歩一歩着実に取り組みたい。